“9-nine-” 読了 感想

ぱれっと制作の “9-nine-” を読了。
本作はロープライス作品として4分割で1年に1作ずつ展開されていた9nineシリーズを1つにまとめ、更に追加ストーリーを加えて販売された全部入り版、完全版。
なお本作は完全版として出すにあたって18禁要素が削除されているが、エロゲーにエロを求めていない派なので特に問題とは思わなかった。

プレイした理由は “能力バトルもの” らしいという話を聞きつけたから。
シリーズ1作目が出た時から存在を認識はしていた。
ただ、どうせ最後に4作全て纏めた全部入りパッケージが出るんだろうな、という確信があったので様子見していた。
案の定、4作全て+追加ストーリーの完全版が販売されることとなったのでプレイ。

プレイ時間:20時間程
正確に測定していないが、大体1つの章が4,5時間もあれば終わるイメージ。

総合評価:凡作
能力バトルものとして考えた場合、凡作。
キャラゲーとしては悪くないと思う。

■ストーリー
アーティファクト(持ってると異能力が使える)を回収して事件を防ごう。

■感想
本作は4つの分割作品+追加ストーリーで構成されているので、一応それぞれの区切りで感想を書く。

◇1章:ここのつここのかここのいろ(九條 都)

マジでつまらない。
物語の導入となるので話がやや平坦気味になるのは仕方ない。
が、それを考慮しても適当に終わりすぎ。
この章を当時単品でプレイして、続きを買おうと思う人がいるのかどうか疑問。

九條の能力だけ発動条件やら効果対象やら射程距離の設定があったりして、この頃はバトルとして成立させようとしていたのかもしれない、という名残みたいなものを感じる。

これといった見せ場もなく、本当にただ作品の設定紹介程度の章。
作中で最も正統派っぽいヒロインだけど一番貧乏くじを引いたキャラ。

◇2章:そらいろそらうたそらのおと(新海 天)

世界から存在が消えるという何度見たかわからない展開。
話としては特に驚きはなく、見せ場というものもそんなに無かったと思う。
最初の導入を見た時点で最後までの展開が大体読めてしまったのが良くなかったような。
実妹ヒロインという点は高評価。

エロゲ声優界の出世頭、種崎敦美の演技が上手い。

◇3章:はるいろはるこいはるのかぜ(香坂 春風)

物語の転にあたる箇所だからか、話の展開が見られて全体的には結構楽しめた。
ヒロインの癖がやや強めだが、個人的には好みだった。

◇4章:ゆきいろゆきはなゆきのあと(結城 希亜)

一応扱いとしてはグランドルートか。
全体的に後出しというか、若干ご都合主義が過ぎる気がするが、タイムリープVSタイムリープ、EDの仕掛けなど、要素はなかなか面白い。
ヒロインのノアは可愛い。これまでの章ではあまりわからなかった素顔が明かされる。
がっつり厨ニ系かと思いきや、結構普通の女の子でしたね。

ところで皆で力を合わせることで…とか言ってたのに、2人くらい大して役に立ってない人がいるな。

◇新章
正統派ヒロインぽい雰囲気だけ出していながら話の導入として適当な扱いになってしまった感のある九條のフォロー的なものがはいる。
1章のがっつりフォローなのかな、と思ったらそんなことはなく、すぐに終わって各ルートの後日談が描かれる。
正直、4章で物語の熱というものは完全に終わってしまい、後は消化モードだと感じたのでかなり適当に読み飛ばしてしまった。
小規模なFDといった内容。個人的には別に無くても問題無いと思う。
リアルタイムで追いかけてきたファンがこれ読むためだけに完全版買わないといけないのエグいな~と思った。
が、調べてみると一応、この章のみ単品で購入することも可能なようだ。

・他キャラクター
登場人物が非常に少ないので一応他のキャラクターにも言及しておく。

◇先生
正直、存在意義をあまり感じなかった。

◇ソフィーティア
こいつが終盤まで物を貸してくれないのがご都合主義を感じる要因の1つだと思う。

◇与一
親友枠かつ宿敵枠だが…
行動原理が適当すぎて魅力を全く感じない。
別に行動原理が無いキャラがいてもいいと思うけど、宿敵みたいな枠にするのはかなりキツい。
何故かというとバトル作品というのは基本的に相互の精神性・主張のぶつかり合いだからだ。
そこを最初から拒絶しているこのキャラクターは何とも魅力がない存在だ。

ポッと出のラスボスとか、ただの悪党みたいなボスが出てきて “ただそうしたいから” みたいな行動原理でも特に何も思わないが、物語の最序盤から親友枠として登場しているのに、このキャラクター設定は魅力がなさすぎる。
意外性を狙った結果、全然面白くないキャラになった、という印象。
こいつに魅力があればバトルゲーとしてもっと良い印象を持てたはず。

◇司令官
杉田って感じのキャラ。
面白枠かつシリアスにもなれるので人気は高そう。

◇ゴースト
この作品で一番かわいいキャラ。

■good
・ヒロインが可愛い
女の子は可愛い。絵も良い。

・主人公に声がある
主人公に声はあった方が良い派なので評価。
物語の構造上、主人公に声がついても違和感を感じないはずだ。

・声優が豪華
あんまり声優にこだわりとかないし知らないけど、僕でもわかるような声優が結構いる。

■bad
・全体的に薄っぺらい
同ライターの過去作は “君と目覚める幾つかの方法” だけプレイ済み。
その時も感じたが、読んでる時はまあまあ楽しめるのだが、最後まで読み終わった後に話が全体的に薄っぺらい、物足りない、という印象。

・戦闘描写に魅力がない
戦闘描写は “オラァッ!” ザシュッ! ぐわあああ!みたいな感じ。
技名叫んだりしてるだけで、正直かなり苦しい。

・登場人物が少なすぎる
登場人物が少なすぎて、配役がすぐにわかってしまう。

・サントラはあまり印象に残らない
これも厨ニ系ゲームとして考えると痛い。

・敵に魅力がない
与一にまったく魅力がない。
生まれた時からただ自由な存在。まあそれは良いんだが、最序盤から登場する宿敵に据えるには正直微妙じゃないか…

・(エロシーンがない)
全年齢版となっております。人によっては怒り狂うので一応記述。

■総評
能力バトルものを下地に置いているが、あくまでもキャラ萌えゲー
女の子はなかなか可愛らしくて魅力的。キャラの掛け合いは全体的にテンポ良く、不快感を感じる可能性は低い。キャラゲーとしては全然悪くない。十分良作くらいの範疇なのでは。

能力バトルものとして評価した場合、結構厳しい。
話の仕組み自体はなかなか面白い(といってもシステムを含めて既視感はある)が、戦闘描写がかなり絶望的。
Dies irae” や “Fate”、“11eyes” のような厨房度を期待していると明らかに肩透かしを喰らう。
近年のゲームで言えば、“3rdeye” の作品を更に更にさら~にマイルドにしたような作品だ。
キャラゲーが好きで、厨二系のゲームをあまりプレイしたことがない人間にとっては新鮮に感じられ、名作と思うかもしれないが…

シナリオゲーとしても全体的に全てが後出しというか、ご都合主義っぽさが強く、微妙に感じられる。

僕は “能力バトルもの” の厨房系作品を期待して読んでいたので、評価は低めとなった。
厨二系・燃えゲーっぽい作品が読みたいならば、もっと他に良い選択肢が多数ある。
最初からキャラゲーと割り切ってプレイするならば、そんなに悪くない作品だと思う。

なお、分作にはなるがSteamでも購入可能なので興味があるならば・・・

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