フロムソフトウェア製作、“ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON”をクリア。
購入理由はPVが結構面白そうで話題作であったため。
筆者はACシリーズは完全初プレイ、どのようなゲームかも知らなかった。その為、過去のシリーズ作品との比較はまったくできない。
あと対人に関してはまったくノータッチなので、あくまでオフラインのシナリオのみの評価ということには注意してもらいたい。
そしてボスの名前とか普通に出てるので一応ネタバレ注意。
プレイ時間:27時間
ストーリーをフルボイスで視聴し、1周目クリアに要した時間は約14時間。その後は既存のミッション会話はそこそこスキップしつつ(うろ覚えのものは聞いてた)、2周目3周目にかかった時間はそれぞれ4~5時間くらいだろうか。あとはパーツを色々試したりしていた時間。
評価:やや良
アクション部分の感触が良く、映像キレイめな3Dアクションとして高評価。
部位ごとの塗装やデカールなど、メインのゲーム性に関係ないメカ弄りは面白い。
しかし大きな欠点として、武装のバランスがかなり悪く、構成を組む選択肢が少ないと感じた。
ストーリーは特別面白いともつまらないとも思わないが、周回制にも関わらず最後以外は変化がほぼ無いのがマイナス。
※この記事を作成中にバランス調整アプデが入ったので現在のゲームの評価として正確でない可能性がある。
ストーリー:ルビコンに火をつけたりつけなかったりしろ
操作感は非常に良好
自分で好みのパーツをカスタマイズ、このシリーズではアセンブルという様だ。自分の好みのアセンブルで戦うロボットアクションゲーム。
アクションゲーでまず自分が気にするのは自分の操作に対して機敏に反応してくれるか、という点。自分はもっさりゲーはあまり好きではない。その点、今作は反応良く機体の挙動も全体的に軽快であり非常に好感触。
カメラ操作が重要なゲームだと感じたのでマウス・キーボードでプレイした。
シナリオは可もなく不可もない
未知の資源コーラルを巡って惑星ルビコンでの争いが描かれる。
で、シナリオ自体は別に良いのだが、全部見ようとすると3周する必要がある。
3周する必要があるのにストーリー部分に変化があるのがほぼラストだけで、ほとんど同じ内容をまた最初からやるので飽きてくる。
説明はやや不親切
アセンブル画面には様々な項目が並んでいるのだが、どういった影響を与えるのか、ゲーム中に説明はあまりない。攻撃にも衝撃や爆発やエネルギーなど属性はあり、どの武器がどの属性なのかはなんとなくのイメージは湧くのだが、あまり具体的な説明はなかった印象。
そして本作の核であるアセンブルなのだが、どういったカスタマイズがどのような敵に有効なのか、シリーズ未プレイ者だったせいか、そこがイメージしにくかった。
また、戦闘チュートリアルを受けられるのが初ミッション後というのが人によっては厄介に感じるだろう。
難易度について
過去のシリーズの難易度が不明だが、“ソウルシリーズ”をある程度意識しているのか、大型ボス戦の難易度はやや高め。ただし難易度が高いのはボス戦のみで、その他のミッションは極一部除き何をやっても楽勝という印象を受けた。この落差が個人的にはマイナスだった。
という感想だったのだが、2周目以降はどのようなゲームなのか、どの構成が強いのか概ね理解したので、そういった武装ばかり使ってボス戦も苦労せず非常にスムーズに進行した。
最終的な感想として、高難易度というよりは単にゲームバランスが悪い。
ゲームバランスが全体的に大味
後述するスタッガーに寄与するかしないかだけで武装の強さはほぼ決まっている。
ゲーム難易度の比重がスタッガーを要する大型ボス戦にあまりにも寄りすぎており、全体的に高衝撃・高威力の武装が強い。
ボス戦、AC戦がないのであれば雑魚ちらし用のミサイル装備なども便利なのだが、雑魚戦用のマルチロックがいまいち使いにくいのと、結局いつボス・AC戦が入ってくるか読めないところもあり、ボス戦用のセットアップでゲームし続けるのが無難な選択肢だと感じた。
ボス戦について
大型ボス戦になると急激に難易度が跳ね上がる。で、これがやり応えがあって面白い!…と肯定する気にはあまりならなかったというのが正直なところ。いくつかの要素が絡み合った結果、自分にとってボス戦はあまり面白いものではなかった。
◇スタッガー
今作の最重要要素が “スタッガー” 。こちらの攻撃(衝撃)を加えることでゲージが溜まっていき、ゲージが最大まで貯まるとスタッガーとなり硬直+一定時間ダメージアップが発生し、大ダメージが見込める…というもの。だが、大ダメージというよりはスタッガーしてようやくまともにダメージが入るソレアリキ仕様。
スタッガーに至るためにゲージを溜めていく必要があるのだが、少しでもこちらの攻撃が途切れるとゲージはすぐに減少していく。その為にこちらの攻撃をほぼ絶えず当て続ける必要がある。あるいは一瞬でゲージを溜めれるような武装が必要となる。
◇敵の攻撃を意図的に完全回避することが難しい
敵の攻撃が激しく完全に回避することが困難。小型ミサイルやレーザーのような細かい攻撃を絶え間なく撃ってくるボスが多く、回避に意識を寄せていても小被弾は避けられない。機体のブースト速度を上昇させることで回避性能についてはある程度改善可能だが、そこまで劇的に速度を上げることは出来ず、完全無被弾は困難だと感じる。
◇近距離戦せざるを得ない調整
実弾系武装は跳弾(遠距離に行くと全然ダメージが入らない)という概念があり、遠距離で機能する高火力or高手数の武器があまり存在しない。というかそもそも本当に遠距離だとロックすら機能しない。
ほとんどの戦闘は近距離戦の様相を呈する。そして近距離戦になればなるほど、敵の機動を手動では視界内に収めること、敵の攻撃の全容を視界にとらえて回避挙動を行うことが困難となってくる。
◇アセンブルの限界もある
ボスの挙動への対応がある機体では正しくても他のカスタマイズでは機能しないことがある。
自身の操作や判断が悪いのか、それともそのボスに対するアセンブルとしては悪手なのか。
この切り分けをする必要もあり、アセンブル画面の各種ステータス項目がどのように影響を与えているのか、正確なところがよくわからないシリーズ初見プレイヤーにとっては困難だった。
◇結果
敵の動きを見極めて適切な対処をし、僅かな隙にこちらの攻撃を差し込んでいく―という高難易度アクションゲームで要求されがちなスタイルを取るのが難しい。
スタッガーゲージを絶えず蓄積出来るように、こちらもとにかく距離を詰めながら攻撃を垂れ流し、高火力の攻撃をスタッガー中にとにかく叩き込む。中~遠距離レベルではこちらの攻撃はほぼ機能しない。とにかくガン攻め。敵の攻撃もかなり強烈で、長時間戦闘になるとこちらが耐えられないので動かせる前に倒す。
とにかくスタッガーが全て。
勝利した時も自分の腕前が向上したと感じるより、今回のトライではたまたまダメージレースに勝てたな、そんな風に感じるゲームだった。
無論学習はしているはずだが、自分の腕前の向上をそこまで実感出来ないゲームだった。
各ボス戦の感想
◇ヘリ
所要時間:2トライ
斬ったら勝てた。エリア外に消えるのがクソ。
◇バルデウス
所要時間:30分
挙動は全体的に素直で学習しやすいので良ボス。バリアを削り切る前に武装を回復させておく(=スタッガー中にダメージを入れる)という概念を意識するようになれば自然と勝てるようになりそう。
◇ジャガーノート
所要時間:5分?
弱点が明確なので良いと思う。
◇シースパイダー
所要時間:1時間
ここまでブレードで斬り付けまくって勝利する展開ばかりだったのだが、接近戦がかなり強い上に硬く、どうにも足りない。ミッション出直しから装備変更、4脚で射角の上を取ってバズーカやグレネード撃ち込みまくる戦法にしてみたら楽にクリア出来た。アセンブルの重要性を感じられたという意味では良いボスだったが、もう少し柔らかくしても良いのでは、後半の飛行はもう少し低い飛行にしてくれ、という感想。
◇アイスワーム
所要時間:2トライ
イベント戦。1トライ目は装備忘れて怒られた。
◇エンフォーサー
所要時間:30分
この辺から敵の挙動を学んで意識的に対処していくというより、スタッガーでゴリ押すだけじゃねこのゲーム、という考えになってくる。
◇アイビス
所要時間:1時間
ロックアシストが手動でカメラ移動すると機能しなくなる、という設計に気づいていればもっと楽にクリア出来ていたと思う。開幕のファンネル→斬り付けパターンに確実な隙が出来るし本体は柔らかい。しかし他の行動に隙が無さすぎる。こっちの攻撃入力に反応して移動しているような挙動をする。
とにかく高空、真上から延々と攻撃を飛ばされ続けるのがクソゲーに感じた。
◇有人バルデウス(1周目)
所要時間:1時間
後半フェーズからのミーティア格闘みたいなの(大型ビームサーベル)連打してくるとマジでクソ。イライラ棒やってる気分。こいつも高所から落りてこなかったり。
パルスシールド対処のためにパルスガン2種抱えてパイルバンカーで突く戦法取ったのだが、2周目に挑戦していたら脳死ボス戦セットアップでプレイして速攻で撃破していたんだろうな…
◇エア(2周目)
所要時間:2トライ
ロックアシストの仕様を理解していなかった1周目で戦っていたら、確実にもっと苦戦していた。
ゴリ押しただけなのでどういう対応すれば良いとか1ミリも理解していない。
◇オールマインド
所要時間:1トライ
流石にラストともなるとゲーム理解度が違いすぎる。こいつが何をしてくるのかもわからないが、高速で走り回りながら強武装を垂れ流してゲーム終了。お供のスパイダー2体はガン無視。
30分くらいならばトライアンドエラーの範疇で程よい心地よさという感じだったが、1時間くらい戦っていると徒労感が出てきた。
ちなみにゲームがそこまで上手くない(筆者基準。ゲーム慣れはしている。フロムの作品、というかソウル系はそこそこやっているぽい)小学生の塾時代からの友人もプレイしていたのだが、自分が初周クリアしたのに要した時間(14時間)と同じ時間プレイしてシースパイダー撃破までだった。“シースパイダー5時間かかった”と言ってた。
アセンブル
武装については色々と用意されている。
しかし武装の違いが種類(実弾やらエネルギーやら爆発)と威力、衝撃力でしか違いが正直わからんというか、わざわざこの武装使うか?というようなものが多かった。特にアサルト、マシンガン系列はカテゴリ自体に使う価値を感じなかった。
カテゴリの違いはあるけど、同カテゴリの中で更に武装を使い分けする意義がいまいち感じられなかった。そのカテゴリの中で一番強い(スタッガー的な意味で)の使うだけだよねと。
頭部の違いはよくわからない。
重要なのは脚部とブースター、ジェネレーター。
脚部に関してはざっくり言ってしまうと逆関節か、4脚か、地走か。という印象で、ただの2脚はあまり特徴がなく、他の種類が尖った性能をしており強みがわかりやすいので積極的に使おうとは思えなかった。
そして軽量級にしても重量級とあまりブースト速度に差が出ない(ボス戦の体験が全く別物になるほどのものではない)ので、軽量級を使う意義が薄い気がする。
ブースターもある程度の速度・維持力・回復力がボス戦においては求められるので、使用するのは数種類程度だったかな。
ジェネレーターに関しては、自分が強いと感じた武装は全体的にEN要求が高いので、ここもある程度の出力以上のものでないと選択肢には入らなかった。ジェネレーターから決めることはなくて必要に応じて選ぶだけ。
胴体はジェネレーター補正が高めのもの。
腕は許される限りで射撃補正が高くて硬そうなもの。
まず武装を決めて、シチュエーションに応じて足を調整して、その他の部位で帳尻をあわせる。そんな風に組み立てていた。
戦闘・カスタマイズの総括
軽量・足回り良好なカスタマイズにすると高火力・重武装が持てない。
また、軽量カスタマイズにしても機動性の違いをあまり感じられなかった。
というのも、足回り良好なカスタマイズでも敵の攻撃を完全に回避することは難しい。自分の視認上では当たっていなくても実はチクチクと削られていたり。
一方で、高火力武装無しでは弾・ブースト無尽蔵なボス戦のダメージレースに勝つことが困難。
また、2周目以降は1 VS 2、1 VS 3のような展開も増え始めた。高火力・高衝撃な武装でいかに手早くスタッガーさせ、スタッガー中に高火力を叩き込んで敵を高速で処理するか。それが重要なゲームだと感じた。
結果、高火力・高衝撃・高回転な一部の武装が至高という風になり、あとは取りたいスタイルに応じて脚を選ぶ(積載の関係で総じて重量級になりがち)。ブースト速度が極力高くなるようにブースターを選び、ジェネレーターはENが足りるものを。他の部分(胴・手)は出撃可能にするための帳尻合わせ。頭は一番良さげな奴で。
無論、どんな装備でもクリア可能だろう。
俺は自分がシリーズ初心者であることは自覚しているので、俺が弱いと感じた武装も運用の仕方を知らないだけかもしれない。しかし、俺は今作で軽量級の機体を組むことの強み、面白さというものがいまいち理解出来なかった。
あともう1つのカスタマイズ要素としてOSチューニングというのがあるのだが、これが最終的には全部強化するだけで面白さが全くない。
周回制だが味気ない
3周することで全ストーリーを網羅することになる。2周目以降は既存のミッションに変化が加わっていることも結構あるのだが、基本的なところは同じで飽きる。
2周目の序盤から新しい選択肢が出てきて、ルビコン解放戦線についての掘り下げがあるのかな、全然違う勢力についてストーリーも劇的な変化があるのかな、と少しワクワクしていたのだが…
選択ミッションこそ増えるが基本的なストーリーラインは変わらず、最後の最後だけ分岐があるよという方式で、既プレイのミッションは完全に作業。
ゲームプレイの面で言うと2周目半ば頃には攻略を優先すると概ねパーツ選択が固定されてきて、OS強化も全終了しており難易度は下がる。
1トライ目にはやり応えを感じていたバルデウスが、2周目では強武装のゴリ押しで2~30秒で沈む。そのような戦闘ばかりになって作業感が更に増えてきた。
かといってストーリーではミッション評価は付かないので頑張ってやる気にもなれず。
ミッション内容には工夫が欲しかった
前述した通り、スタッガー、高火力な構成が至高という風になってしまった。
もう少しミッション内容の方でアセンブルを考慮する工夫が欲しかった。
例えば、“コーラル輸送ヘリ破壊” は高空を逃げるヘリが複数同時出現するミッションだ。そこそこの速度で逃げていくヘリを漏れが無いように撃破していくには、ある程度遠距離から攻撃していく必要があり、構成を考慮する必要があった。
そのように毛色が違うミッションをもう少し増やしてくれるだけで色々と構成を変更する余地が生まれるのだが、基本的にはただ敵を倒しつつ目的地に→最後にもう1戦あって終了!というパターンばかりなのでスタッガー特化構成一本でほとんど間に合ってしまう。
AC戦も名有りの敵ACはそれぞれの構成を組んでいるのに、ここは難易度が低いせいで適当にやっても勝ててしまう。近距離戦闘に特化しているACには中遠距離から引き撃ちしていく必要があるとか、もう少し対策を意識する必要があるゲームであれば良かった。
その他色々文句…というか意見
◇カメラ、マップ、レーダー
カメラの移動速度が最大にしてもなお遅い。また、上方向への視点に関してはあまり追うことが出来ない。アイビスやエアのような超高機動な敵と戦闘となると、手動ではカメラ追従が全く追いつかない。また、高空、真上近くを取られると本当に敵がどこにいるのかわからなくなる。
漫画の戦闘で「あいつどこへ消えやがった―――上か!」みたいなシーンよくあると思うのだが、本当に上に行かれると全然わからなくなるということが身に沁みた。
格闘戦は高度を取っている方が圧勝するんだよ!(村正履修済)
ロボットゲームだし少し見やすいマップとレーダーくらいは欲しかったかな。
◇武装
遠距離で機能する武装。そもそも遠距離戦を許容していないゲーム設計の様だが…
守備的な武装。シールドは良いのだが、メカゲーであるならば対ミサイル用のフレアやチャフ、デコイくらいあっても良かったのではと。また近接武装やシールドをつけれる部位が固定されてるのも謎。
あとはアセンブル各種機能のもう少し丁寧な説明がシリーズ未プレイ者としては欲しかったかな…
◇リペアキット
ソウルシリーズ的に言えばエスト。なのだが一瞬で回復するし特にデメリットもない(何故か攻撃中には使用できない微妙に腹が立つ仕様はあるが)ので、存在する必要があるかどうかかなり疑問。
最初から回復3回分の体力が追加されてるだけで良いと思うんですけど…
◇リスタート画面
アセンブルさせてくれるのは良いんだけど、ショップに行けないのでボス戦前で色々と試行錯誤する余地が少なくなってしまったのが残念。
流石に甘えすぎという意見もあるかもしれないが、武装を変えるためだけにミッションを1からやり直して挑戦したくねえよ。
1周目が一番しんどいのに1周目が一番選択肢が無いのがね。
good/bad
総評
操作感は非常に良好で、プレイしている分には機体がサクサク動いていて気持ち良い。映像の綺麗なアクションゲーム。
しかしゲームバランスが気に入らなかったな、ほとんど変化のないストーリー3周するのはキツイな、というのがこのシリーズに何の思い入れもない新規プレイヤーたる自分の感想だ。
カスタマイズ制がウリなのだろうが、武装バランスの調整不足感、大型ボス戦と他の難易度乖離、とにかくスタッガーさせるだけのゲーム性で、あまり構成に幅を出すことが出来なかった。パーツの数自体はそれなりなのだが、パーツ毎で比較した際に強さや面白さを感じられない物も多く、選択肢が多いゲームという印象は受けなかった。
そこにほとんど変化のないシナリオ3周というのが合わさり、単調なゲームに感じられた。
しかし単調と思いつつも3周出来てしまった理由にはアクション部分の軽快さ、手触りの良さというのが思っているよりもプラスに働いていたのだろう。
所謂クソゲーではないと思うが、他人にオススメできるかと言われると…9000円は微妙かなと。
ただ自分の遊び方が、このゲームを好きなプレイヤーとはちょっと違うのかな、と思うところはある。
デカールや塗装に凝り、自分だけの機体を作り、対戦に繰り出していく。自分の力作をお披露目しつつ、他人の力作も探していく―という風な遊び方がこのゲームを一番楽しむ方法だと思われる。
創作意欲高めのロボ好きにとっては、間違いなくオススメできるゲームだろう。
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