“白昼夢の青写真” 感想

Laplacian製作の“白昼夢の青写真”を読了。
Laplacianの作品をやるのは初。面白い、という噂を聞いたので。

プレイ時間: 約12時間程
フルボイスなら24時間くらい?

評価:良い
全体的に面白かったし、終わり方は好みだった。
が、エピローグで少しぶち壊しにしたかも感はある。

■ストーリー
CASE0~4の4つの物語で構成される。

CASE1: 元作家志望の非常勤中年教諭と教え子の話
CASE2: シェイクスピアの成り上がりストーリー
CASE3: カメラマン志望の男子の一夏の成長物語的な話
CASE0: 世界と呼ばれた少女の話

■感想
・CASE:1

45歳の教師と教え子のヤバそうな恋。
ドロドロした話で雰囲気は一番好み。
奥さんレイプして離婚して教え子孕ますってなかなかできることじゃないよ。

・CASE:2

シェイクスピアの成り上がりストーリー。
演劇やらミュージカルやらオペラみたいな感じの好きなんですよね。
で、この話は演劇を製作する話なんですけど、この話そのものがまた1つの演劇のように作られており、かなり面白かった。
純粋な面白さ的にはCASE2が一番好みだった。

・CASE:3

キャメラマンを目指す少年の一夏の成長物語。
一番ギャルゲっぽい話。
導入はいかにもエロゲの序盤みたいな感じで結構しんどかったけど、途中からは普通に読めた。
CASE1、2が両方重めな感じだったので、これは爽やかな感じでバランス取ったのかな。

・CASE:0

メインの話。
地下都市に逃げ込んだ人間、ヒエラルキー、遺伝子改良により長寿化した人間、といったSF系。
で、ざっくりまとめると世界のために少女が1人望んで犠牲になる、どこかで見たような展開。
驚きはあまりなかったが、王道ではある。EDまでの過程は十分楽しめました。
話の導入の過去編がCASE1~3と比べて長いから少し疲れたかな。

◇good
・がっつりシナリオゲー
読み応え十分で、つまらないと思うようなシーンもほぼ無く、楽しめた。
CASE1~3のそれぞれ独立した短編集としても全然楽しめる。
物語は全て別れで終わり、ややビターではあるが、それがいい。

・魅力的なヒロイン
どこか蠱惑的な雰囲気の凛、誇り高さを持つオリヴィア、ギャルのすもも、世凪、皆魅力的。

◇bad
・エピローグが蛇足に感じられた
物語は全て別れで終わり、それが後を引く作品。
と、感じていたのだが、エピローグでやっぱハッピーエンドにしまーす!みたいなノリでそれぞれの物語の後日譚が見れる。
幸せになってくれて良かった~!と思う人も少なくないだろうが、個人的には余計なことしたな、という気分。CASE:0はともかく、CASE:1~3のエピローグは本当に蛇足だと思う。

・細かい設定が少し気になった
太陽光の影響を受けやすくなった人類は、オゾンレンズ無しでは十数分の日光暴露でメラノーマが全身転移を生じて死ぬ、とか。
ガンて人体の細胞増殖過程で発生するエラーなわけで。それが十数分で生じて、更に全身転移までするって人体の細胞増殖のスピードどれだけ上がってんだよ、みたいな。
後にこの情報は作られた物であることは明かされるが、ちょっといくらなんでも無理がないか?wと思ってしまった。

あとヒロインの世凪は遺伝性?のアルツハイマーを患っており記憶障害が生じる可能性があるのだが、未だにアルツハイマーの治療は完成していない、とか。
“基礎欲求欠乏症”なる謎の病を設定として出したんだから、認知・記憶障害を生じる病気の設定を別に作っても良かったんじゃないか。仮想世界や人体の寿命を延ばす遺伝子改良の技術がある世界で、アミロイドβの治療が不可ってのは若干怪しい気がする。読み手にわかりやすさを与えるためかもしれないが、僕としては違和感を感じた。希少疾患ならともかく、アルツハイマーて超メジャーな病気だから研究も相当されてるだろうし。

■総評
全体的に纏まった完成度の高いシナリオで、読み応えがある良作。
特にCASE:1~3はそれぞれ短編としてかなり楽しめた。

ビターな読後感が好みだったので、エピローグは蛇足だと感じた。

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